2006.09.26 Tue
ベルリンの
二〇〇六年 五月。

東京−ベルリン/ベルリン−東京展 森美術館
全体としては二十世紀美術を振り返るというような内容で、見た事のある作品も多く、これといった新しい発見はなかった。私としては、最後の現代のベルリンの美術のコーナーが一番興味深かった。
作者の名前は忘れたが、一日の勤務時間の間にベルリンを観光し尽くせるかという「ベルリン8時間観光ツアー」という映像作品が面白かった。
ガイドに付いてワンカットで延々とカメラを回し続ける。ガイドが観光スポットの説明をしているところも、次の場所へ向かって黙々と歩くところも。
ブランデンブルク門の辺りからブンデスターク(連邦議会)に至る十五分程度の部分しか見ていないが、移動の過程も映っているから、点としてではなく線でなぞるようにベルリンを臨場感を持って見る事が出来た。この作品は本当にこの調子で八時間続くのだろうか。
ニナ・フィッシャー&マロアン・エル・ザニの「共和国クラブ」、「共和国宮殿−ホワイト・エリア」。
一つは木とアクリル板で出来た巨大なブロックか箱のような共和国宮殿の模型。大きなウーファーが取り付けられていて、身体に響く重低音を発している。
もう一つは向かい合うように壁に投影されている映像のインスタレーション。一つの映像はコンクリートと鉄骨が剥き出しになった共和国宮殿内部の殺風景で巨大な空間を映しながらカメラは横に移動していく。その映像の向かい側の映像ではカメラは建物の外側に向けられていて、一方の映像と同じ速度で横に移動していく。埃で曇った窓から、ベルリンの街が見える。共和国宮殿については何も知らないが、妙に存在感のある場所だ。
後で調べてみた。共和国宮殿というのは、過去の封建時代と帝国主義の象徴だという事でベルリンの王宮を破壊して、その場所に旧東独政権が建てたものだ。
共和国宮殿というと共産党の幹部だけが出入りできる特別な場所のような気がするが、実際にはボーリング場や劇場やカフェなどがある旧東ベルリン市民の憩いの場だったようだ。旧東ベルリン市民にはいろいろと思い入れのある場所だろう。しかし、東西ベルリン統一後内装にアスベストが使用されているという事で、内装が全て引き剥がされ今の姿になった。背後に政治的な意図も噂されている。そして、既に取り壊しが始まっているようだ。跡地にはかつての王宮が再建される。そんなドイツの近・現代史を象徴するような場所だ。ベルリンという都市の複雑な歴史と事情に、ちょっとせつなくなった。
ボリス・ミハイロフ「路上にて」。
街を歩く老人たちを撮った何の変哲もない写真に見える。しかし、「いくつもの政権下で平凡な市民として生きてきた彼ら」みたいな説明を読むと急に感傷的に見えてくる。


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東京−ベルリン/ベルリン−東京展 森美術館
全体としては二十世紀美術を振り返るというような内容で、見た事のある作品も多く、これといった新しい発見はなかった。私としては、最後の現代のベルリンの美術のコーナーが一番興味深かった。
作者の名前は忘れたが、一日の勤務時間の間にベルリンを観光し尽くせるかという「ベルリン8時間観光ツアー」という映像作品が面白かった。
ガイドに付いてワンカットで延々とカメラを回し続ける。ガイドが観光スポットの説明をしているところも、次の場所へ向かって黙々と歩くところも。
ブランデンブルク門の辺りからブンデスターク(連邦議会)に至る十五分程度の部分しか見ていないが、移動の過程も映っているから、点としてではなく線でなぞるようにベルリンを臨場感を持って見る事が出来た。この作品は本当にこの調子で八時間続くのだろうか。
ニナ・フィッシャー&マロアン・エル・ザニの「共和国クラブ」、「共和国宮殿−ホワイト・エリア」。
一つは木とアクリル板で出来た巨大なブロックか箱のような共和国宮殿の模型。大きなウーファーが取り付けられていて、身体に響く重低音を発している。
もう一つは向かい合うように壁に投影されている映像のインスタレーション。一つの映像はコンクリートと鉄骨が剥き出しになった共和国宮殿内部の殺風景で巨大な空間を映しながらカメラは横に移動していく。その映像の向かい側の映像ではカメラは建物の外側に向けられていて、一方の映像と同じ速度で横に移動していく。埃で曇った窓から、ベルリンの街が見える。共和国宮殿については何も知らないが、妙に存在感のある場所だ。
後で調べてみた。共和国宮殿というのは、過去の封建時代と帝国主義の象徴だという事でベルリンの王宮を破壊して、その場所に旧東独政権が建てたものだ。
共和国宮殿というと共産党の幹部だけが出入りできる特別な場所のような気がするが、実際にはボーリング場や劇場やカフェなどがある旧東ベルリン市民の憩いの場だったようだ。旧東ベルリン市民にはいろいろと思い入れのある場所だろう。しかし、東西ベルリン統一後内装にアスベストが使用されているという事で、内装が全て引き剥がされ今の姿になった。背後に政治的な意図も噂されている。そして、既に取り壊しが始まっているようだ。跡地にはかつての王宮が再建される。そんなドイツの近・現代史を象徴するような場所だ。ベルリンという都市の複雑な歴史と事情に、ちょっとせつなくなった。
ボリス・ミハイロフ「路上にて」。
街を歩く老人たちを撮った何の変哲もない写真に見える。しかし、「いくつもの政権下で平凡な市民として生きてきた彼ら」みたいな説明を読むと急に感傷的に見えてくる。


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|美術館・博物館 | 04:12 | comments:4 | trackbacks:1 | TOP↑





